インビジブル・ラブ(54)

 自白した犯人たちを連れて、ふたたびあの家に実況検分に訪れた愛海は、誰にも世話をされず、寂しそうにうずくまっていたフー公が、すっかり哀れになってしまったらしい。
 老婆の親族に苦労して連絡を取り、ネコをもらい受ける許可を得た。
 実家にいるフーちゃんに似ているからと、「フーちゃん二号」、略して「フニちゃん」という名前までつけて可愛がっている。
 ところが、いっしょに暮らしてみて驚いた。
 俺が「フー公」と呼んだのは当たっていた。こいつは三毛猫のくせに、なんとオスだったのだ。
 一説によれば、オスの三毛が生まれるのは、三万匹に一匹の割合だそうで、ペットショップでは相当な高値で取引されるらしい。
 もちろん、愛海はそんなこと知っちゃいない。もしわかったとしても、売ったりはしないだろう。
 ことによると、老婆が遺した財産の中でもっとも高価だったのは、こいつかもしれないな。
 ……などと暢気なことを言っている場合じゃない。
 こいつ、俺と愛海が仲良くしているのを見ると、すぐに邪魔しにきやがる。さすがに、オスだけのことはある。
 そして、愛海も「ふかふかで気持いい〜」と、すぐに俺そっちのけで、フー公を膝に乗せてしまう。
 身体がない分、俺は完全にこいつに負けているのだ。
 くそう、この俺がネコに負けるなんて、納得がいかねえ。

 かくて、幽霊と女刑事と、ついでに猫一匹の奇妙な同居生活は、まだまだ続く……らしい。


      第二章 終

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