いつだったか、きみの時代の新聞を見せてもらったね。その日付を今でもよく覚えている。あれは平成15年5月14日だった。
きっと僕ときみはその頃出会う。僕には確信がある。
たえさん、きみに会えてよかった。きみの手のぬくもりを忘れたことはない。
きみと会ったから、僕は僕の人生をせいいっぱい生きることができた。
ありがとう。 校倉栄一」
「校倉さん、あなたのおじいさまは……」
思わず、たずねていた。「いつ亡くなられたの?」
「5月13日未明だ」
彼は押し殺した声で答える。「膵臓ガンだった。祖父は自分の死ぬ日をなぜか正確に知っていた」
私はとめどなく流れる涙を抑えることもなく、手紙を胸に抱いた。
栄一さんが亡くなったその同じ日、彼があらかじめ送ってきた鏡の中で、私ははじめて過去の彼と出会えた。
そして、鏡の中の彼と永遠のさよならを告げたその日に、彼の孫がこの手紙を携えて来てくれた。
そんなふうにして、せいいっぱいの思いをこめて、彼は私との出会いと別れを準備してくれたのだ。
「栄一さん……」
私こそ、あなたに出会えてよかった。
私にとってはほんのわずかな間だったけど、60年という時を乗り越えられないままだったけど、それでも、私たちはすべてを賭けて愛し合ったよね。
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