ご主人さまのお好きなレシピ(106)


 私は、はあっとため息をついた。
「それで、やっぱり灰になっちゃうんですか」
「はい?」
「おやじギャグやめてください。吸血鬼は太陽の光を浴びると、サラサラッと灰になるんですよね。とは言え、光全般がダメってことはないんでしょう。ご主人さま、蝋燭の光も、白熱灯も蛍光灯もだいじょうぶみたいですし。あ、それはそうと、節電対策で、この屋敷すべての明かりをLED電球に換えたらいいと思うんですけど、どうでしょう。そうすると全部で五十個じゃ利かないでしょうね。かかる費用を考えたら、別の意味で灰になっちゃいそうです」
「あのね。ルカさん」
 このところ来栖さんは、私のことを『茅原シェフ』じゃなくて『ルカさん』と呼ぶ。一年の付き合いで、ちょっとは彼と親しくなれたのかな。
「念のために言っておきますが、伯爵さまのご一族は、日光を受けても死ぬことはありません」
「え、じゃあ、昼間外に出ても平気なんですか」
「平気ということではありませんが、苦手なのです」
「苦手。なんだ。それだけ?」
「ルカさんだって、苦手なものがあるでしょう」
「そりゃ、苦手なものだらけですよ」
 ヘビ、クモ、ナメクジ。イジワルな執事。
「わたしは、ナメクジと同列ですか」
「へえ、自分がイジワルだって自覚してるんですね」


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