ご主人さまのお好きなレシピ(247)


 そんなことをぼんやり考えていたら、私の後ろにおられたルイさまが、すっと前に進み出て、私をかばう位置に立つ。
『どこから入っていらしたの。あんまり礼に失するやり方じゃありません?』
 突然耳に飛び込んできた外国語に、まず驚いた。レオンさまもイアニスさまもルイさまも、いつも日本語でしゃべっておられたんだなと、今更ながらに気づいた。
 けれど、一度も聞いたこともない言語なのに、なぜか意味はわかるのだ。まるで超能力者にでもなったような不思議な気分。
 金髪の大公は、ふんと鼻を鳴らして笑った。『余は、すべての法と定めを超越する。大公への拝礼のしかたさえ忘れてしまった愚かな裏切り者に言ってもわからぬだろうがな』
 ルイさまとイアニスさまが、息を止める気配がした。
『ぬかずけ』
 数瞬ののち、おふたりは絨緞の上に膝をついた。まるで、膝が力を失ったようにカクンと折れた。その様子は、あたかも条件反射のよう。プログラムされたロボットのよう。
 一族の方は、徹底的に刷り込まれているのだ。上位と下位の圧倒的な身分の差を。
 これでは、逆らえるわけがない。反抗などできるはずはない。
 アレクサンドルさまは高みから睥睨するように部屋を見回し、立ち尽くしている人間たちに目を留めた。
 

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